裁縫師として
プロフィール
熊谷 フサ子(Fusako Kumagai)
1943年
沖縄本島南部旧高嶺村字真栄里にて誕生。
糸満高等学校卒業、季節工として上京、その後、東京にて和裁の修行を積む。
1969年
帰沖、島尻きもの学院を設置。
1976年
同学院を熊谷職業和裁学院と改称。
1979年
表千家流地方講師免許取得。
1979年
熊谷職業和裁学院『設立15周年誌』発行
1996年
日本女子大学通信教育部生活芸術学科卒業・家政学の学位を取得。
同年、厚生労働省・和服製作作業1級技能士取得。
2000年
沖縄県優秀技能者授賞。
2007年
沖縄大学大学院・現代沖縄地域研究科沖縄・東アアジア地域研究専攻修了。
2014年
『沖縄における手縫い文化の探求』自費出版
『當銘正幸コレクション調査報告並手ぬい職人のカンところ』同。
2014年
厚生労働省・「現代の名工」認定・拝命。
2016年
同学院を熊谷 和・琉裁きもの専門学院と改称。
2020年
『今・時・ウチナーチン』沖縄県和服琉服仕立協同組合と共同刊行
熊谷学院設立50周年を記念して「パネルディスカッション」開催
(同年度・第1回うんしん競技大会開催・実施委員会を併設)
2021年
第2回うんしん競技大会を2月11日をうんしん競技大会と定める。
「ふれあい作品展」新報ギャラリー&タイムスギャラリーにて開催。
2022年
第3回うんしん競技大会
2023年
第4回うんしん競技大会。(2月)
「衣生活文化に触れる衣装今昔作品展&即売会」てぃるる於いて開催。(3月)
即売会での売上金を「崇元寺の復元的振興事業への一助として那覇市に金一封を贈呈」
2024年
第5回うんしん競技大会予定。
インタビュー
学院の今後の活動は
インタビュアー
学院設立56年目になるとのことですが・・・、
熊谷
沖縄の本土復帰以前・琉球政府立認可ですから…、学院設置のきっかけは、某専門学校和裁指導員として採用されたが、裁縫道具などの設備に納得いかず・・・、無知な若者で深く考えずに始めたのが数えてみれば55年経っていました。(笑)
沖縄海洋博覧会開催期間の正月、アクアポリスのコンパニオン60名への着付け、本土復帰に備えて軍離職者対象の職業訓練、国家技能検定試験が県下で初めての実施に向けて参画できたことは、幸運でした。
今後は、地域に学びながら持てる技能を活用できる場の提供ができることを願っています。泊地には、先の沖縄戦により破壊され焼失した重要文化財・有形文化財指定の「崇元寺」跡地がある。嘗ての崇元寺の正廟等の資料で知るかぎり、私共が掲げている「ものづくり」の作品群でつくられていることに「何とかしたい!」思いです。要するに可能の限り「崇元寺の復元的振興に一助できるような事を思案しています。—私たちの学習の場であることに期待を込めているのです。
インタビュアー
崇元寺の復元と学院?よくわからないのですが・・・。
熊谷
学院は「和裁科」と「琉裁科」の2本立て、和服は先人の知恵が結実した日本の伝統衣装として研究の余地がないといわれている。ウチナーチン(琉服)は、私の知るかぎりですが、資料が乏しいですね、崇元寺は、琉球国と中国との冊封関係の中で重要な諸儀式の場であった。国王が正装から儀式を終え、道胞(普段着)に着替えられる場面があります。正装とは?道胞とは?、歴史を学び、衣装について深く識ることになりますね。
インタビュアー
そういうことですね。
熊谷
沖縄県民は、「首里城の復元」に目が向いている、その時代は、首里城での儀式の前に「崇元寺」で挙行されていた、従って、首里城の復元前に可能であれば崇元寺の復元を望んでいます。
インタビュアー
「わかりました」、その他の活動方針は?
熊谷
手縫いすることの大切さを発信すること、そのために、「うんしん競技大会」を継続して実施すること、少しずつ運針・並縫いができるようなり。参加者拡大」に繋げ、学校で運針を教えるようになれば、私共の役目は卒業です。
「作品展」は訓練生の発表の場として適時に開催、日常で和服と琉服を生活の節目に着用して欲しいですね。
富山県で「風の盆」を体験したのですが、一地域でこれだけ全国的に知られるイベントに感動しました。町全体が「風の盆」一色でしたね。
沖縄観光に来てウチナーチンを着た人に出会わない・の声もありますね、「沖縄も誰か気づいてください」と申し上げたいですね。
訓練生募集と内容について
インタビュアー
訓練生の募集は?
熊谷
いつでも「ウェルカム」、老若男女問わず受け入れています。勿論、ハンディの方も「縫う意志があれば」、サポートいたします。
インタビュアー
訓練の内容は?
熊谷
入学の目的に沿った内容で進めます、まずは、しっかり「うんしん」の習得です。
運針練習後は、希望する作品の製作、お孫さんの七五三の祝着、成人式の振袖等。
国家検定資格を取得したい場合は練習材料・受験料の支援をします。
裁縫業で生計は?
インタビュアー
訓練期間と自立時期の目安を教えてください
熊谷
まず、自分の作品を作り、着用して納得したら、他人の依頼品もどんどん受ける。
訓練中の時が丁寧に心を込めて仕上げるはずです。勿論、工賃も正規で受けましょう。
誠実を以て製作する作品は評価されることでしょう。
2年たったら・・・より、チャンスがあれば早い時期に、その好機を作るのも自分自身にあります。
地域や周りの人とコミニケションをとりましょう。裁縫以外にも学ぶものがあるはずです。
学院の継続・後継者は
インタビュアー
学院長は今年80歳とのことですが、後継者のことをお伺いしても…。
熊谷
幸いにして、設立当初の多忙な時から諸行事をサポートしていただいた方、その周りに恵まれています。その時期が来ればバトンを渡受したいと考えます。
沖縄県で唯一・文科省認可で「手縫い技法の伝承する場として継続を望んでいます。周りには、伝承できるような体制を作りつつあります。琉服は、手縫いであること、参考資料は、先人の作品にあることの認識の下に取り組んで参ることでしょう。
最後に
インタビュアー
皆様にお伝えしたいことは?
熊谷
「継続は力・日新又日新」につきます。まず健康、疲れたら休む、気分を変える・歌を歌うのもよし。休むことは次へのエネルギーの蓄え。
「縫うことは考える力になる」と申し上げたい。
目的を一箭に一緒にすすみましょう!
書籍紹介
沖縄における手縫い文化の探求(2007年)
熊谷 フサ子 著
手縫い文化の探求・手ぬい職人のカンどころ(2014年)
熊谷 フサ子 著
今・時・ウチナーチン(2020年)
熊谷 フサ子 著
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